2011年8月22日月曜日

Exit through the gift shop

これ、見てきました。
恥ずかしながらバンクシーを追ったドキュメント映画だと勘違いしておりまして、バンクシーがメガホンをとった映画 ということを最後になって気づきました。


今世界で最も注目されているグラフィックアーティスト、でも誰もその素顔を知らない。それがバンクシー(wiki)です。
社会をコミカルに、ニヒルに揶揄したストリートアートやインスタレーションが彼の作品。詳細は映画を見ていただければと。(PATAが発狂しそうな作品もありました)







話の大筋はある日古着屋をやってた(ビデオ)カメラオタクのオッチャンがストリートアーティストを撮り始め、尊敬するアーティストからやってみたら?って言われてやったら個展で大成功 果てにはマドンナのベストアルバムのジャケットを描いてしまった。という話です。
まるでアンディ・ウォーホルのあれです、あの名言。「15分で誰もが有名人になるだろう」ってのを体現したみたいなオッチャン。

絵が描けなくてもアイディアを言ってうまい人に描いてもらえばいい、大きい彫刻が作りたかったら彫刻家を雇えばいい。

事実ここに出てるオッチャンもチームを組み、各チームで各々に任せていました。個展を開くのですが彼は指示を出すのみ、マネジメントもなんにも出来ちゃいない、本当にアイディアだけ。
でもそんなオッチャン、個展で大成功。展示した作品は売れたかどうか分かりませんが、彼の個展は地元で一番のメディアから取材がきて、表紙になってしまうなど アーティストとして大成功をおさめました。
競馬で言えばビギナーズラック。彼はどうなるのでしょう(苦笑)ってバンクシーはとらえてましたね。






劇中警察に捕まっている瞬間、追いかけられている瞬間が何度もありました。
日本問わず各国で落書きは犯罪です。
しかしなぜバンクシーをはじめとする「ストリートアーティスト」と呼ばれる人たちは、「公共物」に書き続けるのでしょう。
描いている彼らには当たり前すぎて愚問かもしれません。壁が好きだから、社会に訴えたいから、理由は様々でしょう。しかしこの映画をもっと掘れば「アートの価値とは?」という所に行き着きます。


もう一度言います、壁や公共物に落書きをするのは犯罪です。
きったない字で「うんこ」と描こうが本物ソックリの「ビーナス誕生」を描こうがどっちも「落書き」です
実際バンクシーの作品も消されているものがほとんどです、そりゃそうです 犯罪なんですから。
でも個展を開けばブラピなどのセレブや一流メディアがくるほどの大盛況ぶり。美術館に勝手に置いたら(これもダメです)コレクションとして永久保存されたり。
彼は壁に描いた作品もコレクションとして永久保存された作品も同じです。
そうです、壁に描かなきゃいいんです。でもそんなのバンクシーの作品じゃないのです。いや、ストリートアートじゃないんです、ストリートアートは、「街」に描かれなきゃダメなんです。しかし彼の評価から美術界における「ストリートアート」の価値が変わりました。でも、落書きです、消され続けます。


さて本題、アートにおける価値とは何ですか。美術館にキャプチャー付きで飾ってある絵画、彫刻、映像作品、有名な建築家がたてた建築物、名だたるデザイナーがデザインした椅子、いろんなものがあるでしょう。
貴族が楽しんでたときはいいんです。貴族がお金をだして作ればそれで価値がある。
でももう一部の超お金持ちやコレクター、美術評論家を除けば地球上には市民と呼ばれる人たちばかりです。
印刷技術の発達等もあり一部のコレクター、美術評論家がこれは価値があるないだの言ってますが、ほとんどの市民はこれにいくらの価値(マネー的に)があるなんて興味を示しません。光が当たり、有名になり、面白そうであればいいのです(そうではない人ももちろんいますが その辺は話したらキリがないし個人的にどうでもいいのでこの辺は話しません。どうでもよくないあなたはもう評論家です。)


これが名画なのか、落書きなのかはある意味民主主義的に決められていると映画をみて改めて感じました。










個人的な話になってしまうのですが、私もどちらかというとアイディアを出す方より、アイディアを形にしたり企画をマネジメントしたりする方の人間なので、あのアシスタントさんたちの「もうあいつとはやんないよ」っていうのが「ああわかるわかる」って同意しまくってしまいました。
言うだけは楽なのですよ、言うのは凄いけど。ほんと。


あとストリートアートには疎くて、あれ下書きなしで描いていると思った段ボールとかでステンシルプレートを作ってスプレーで吹きかけてるんだ...知らなかった。
たくさんの場所に描かなきゃいけないからああいうのじゃないとダメなのか。
あとバンクシー氏は一部報道によると1974年生まれだそう。40過ぎなのに屋根に登ったり柵をくぐったり、より体力勝負なんだなと思いました。


でも、そんな深いことは考えないで、ストリートアーティストとオッチャンのサクセスストーリーだと思ってみてください。ニヒルで面白い!ほんと おすすめ映画です









最後に劇中の彼の言葉を

「絵画や彫刻って何千年も残ることを前提に作られてるだろ、でも俺たちのアートは違う。すぐ消されちゃうんだ。だから記録に残しておくのが重要だって」

きっとバンクシーの評価があがり、ストリートアートの価値が上がってもこの言葉は永遠なのでしょう。でもバンクシー自身はもう映像作品をやらないんだそうですよ。


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